マンガびりびり
マンガびりびり / sawamur

海外のマンガ事情を調べていた時に、非常に学ぶところ多いサイトに出会いました。
「アジアの日本漫画から世界が見える、そして日本が見える・・・」をキャッチフレーズとしたサイト
『こちらインドネシアジャワ島漫画喫茶~こち漫~』です。

インドネシアで漫画喫茶を運営してる「へいちゃん」さんが運営しているサイトです。

さすがは現地で試行錯誤しているだけあり、
”日本にすら存在しない「ドラゴンボールの続編」の情報”が掲載されていたり、かなり濃密な情報が満載です。
(ドラゴンボールの続編はもちろんニセモノです)

会社にいると、自然と「海外のマンガ事情」は耳に入ってきて、なんとなく知ったつもりになっているのですが、そうしたものが、「現場を知らない出版社の人間の知識」に過ぎないのだなと思い知らされます。

■日本漫画大躍進は、「マンガの力」単体によるものではない


とりわけ下記の記事には学ぶべきところが多々あります。

「WTOも真っ青!漫画の世界も国際競争の時代に突入
インドネシアに韓国漫画がやってきた!」

<現在インドネシアでドラえもん、ドラゴンボールなどの地位を脅かす海外の漫画は見当たりません。
日本漫画は圧倒的な支持を受けており、今後しばらくの間は間違いなく天下を取り続けるでしょう。>


嬉しい言葉です。しかし、これで安心していてはいけません。

以下のように続きます。

<しかしこの日本漫画大躍進の背景には、それ以前に日本企業がインドネシアに進出を果たしていたことを忘れてはいけません。
トヨタ、ホンダ、キヤノンなどなどインドネシアで日本製品を見ない日はありません。
日本製品に日常的に接しているインドネシア国民にとって、日本は植民地支配をした国から憧れ、夢の国に変化していったのです。
そこに憧れの国からやってきた漫画に対してアレルギーはあるはずもなく、自分自信が憧れの国の文化に触れているという自尊心も手伝い、今日の日本漫画大躍進の原動力になったとへいちゃんは考えています。
これがもし漫画が先に進出していたら果たしてこれだけヒットしたのでしょうか・・・。>


極めて冷静で的確な分析と思います。

「日本のコンテンツには世界を席巻するパワーがあるのだ!」と、むやみに叫んでる人に聴かせてあげたい言葉です。
(もちろん、大きなパワーはあると思いますが、日本特有のソフトが外国で広まるのは、そんな単純なことじゃないはずです)

■マンガでも世界を席巻しそうな勢いがある韓国

そして、家電、音楽など他ジャンル同様、日本以外のアジア勢が力を強めているようです。

<今、インドネシア市場に韓国を始め、アジア諸国の製品が押し寄せています。
(略)
いずれこれらの国が日本と同じ土俵に上がったとき、漫画も中身の勝負になってくると思います。
韓国には大学に漫画学科が幾つかあるように、漫画大国になる可能性があります。
今後の日本漫画を考える上で忘れてはいけないのが、あしたのジョー、魁!男塾がなぜもう一つ受け入れられなかったのか考える必要があります。
日本人の友情、精神、根性といった日本的な「美学」をあまりに追求してしまうと、世界では受けないということです。
世界で通用する漫画を書きたいのであれば、漫画にもグローバル・スタンダードを導入する必要があるようです。>


現地で、日々、マンガに釘付けになっている子どもたちの姿を見ている人の言葉だけに説得力があります。

ちょうど先週末の朝日新聞beにて、夏野剛さんが連載「逆説進化論」にて「中小企業礼賛の落とし穴」というコラムを書いていましたが、その主張にも通ずるところがあると感じます。


「へいちゃん」さんは、最後にこう締めくくります。
<ヘいちゃんは21世紀にも第2のドラえもん、ドラゴンボールの出現がある事を願っていると同時に、必ず出ると確信しています。
インドネシアでの潜在的な強さはどうひいき目に見ても日本漫画がNo.1です。
がんばれ日本漫画!>

ありがたい言葉です。

果たして、そうなれるのか? 勝負は「ここ三年くらい」ではないでしょうか。
その中で、自分が何をどこまでできるのか、改めて熟考していきたいものです。