私が南アフリカにいることを知った会社の同僚が、下記の情報を送ってくれました。

アルジェリアで自国製漫画が大ブーム

<日本で生まれ、今や世界に広がっている漫画が、北アフリカのアルジェリアでもブームになっている。

「アルジェリアの漫画は私たちのトレードマーク。DZ漫画と呼ばれています」と、同国初の漫画出版社Z-Linkを創業したサリム・ブラヒミ(Salim Brahimi)氏は語る。Z-Linkの漫画は、テキストから描画まで100%アルジェリア製だ。>

<アルジェリアの漫画は日本の漫画のようなユーモアセンスやアート性を残しながらも、地域性が色濃い。「ストーリーは主にアルジェリアを背景としたもの」>


日本発の文化が、遠く離れた北アフリカで市民権を得つつある、というのは実に誇らしいことです。
しかし、無邪気に喜んでる場合ではないはずです。

マンガに関しては、日本がスタンダートなんだ、という状況を対外的にも作っておかないと、
あっという間に、柔道と同じような状況に陥ってしまうことになると思います。




どこかの国が「世界マンガアワード」的なものを開催し、
そのコンテストの形式・評価基準に、日本のマンガも合わせざるえない、
そんな日が来る可能性も十分にあります。

「そういうコンテストに出したい人は、その基準に合わせればいいじゃないか。
日本のマンガは、これまで通り、日本の形式・評価基準で発展させていけばいい」
なんていう意見が聞こえてきそうですが、はっきりいって甘すぎます。

今は海外にマンガを出すことがそれほど大きなビジネスにならないですが、
もしも五年後、十年後に、どデカい市場になっていたら、どうでしょう?

日本の漫画誌に掲載するにしても、当然、世界で売れることを前提に作品作りをすることになります。
そんな状況になった時に、「日本の形式・評価基準でいいんだ」なんて意見が通用するわけがありません。

「日本発のマンガが、海外でも広がっている! すごい!
ブラボー! クールジャパン!」
なんて両手を上げて喜んでいる時期はとっくに終っているのです。


■村上隆のマンガへの提言に、耳を傾けていくべき

力づくで海外に自分の価値を認めさせた村上隆さんの著書『芸術起業論』は、マンガ関係者こそ必読の一冊だと思います。



「権威は自分で作り上げなければならない」
という見出しのもと、下記のように書かれています。

<漫画やアニメは幼稚なものですが、世界における日本文化の優位性は、今はそこにあります。
だから今のうちに日本の漫画産業やアニメ産業に競争力がある理由を論理的に徹底的に構築してゆかなければならないのです。

あるアニメ雑誌の編集長は、
「アニメに批評はいらない。視聴者の夢を壊しちゃう」
といいますが、正当な権威や評価が生まれないままではいつかアメリカのルールに搦め捕られてしまうでしょう。>


彗眼です。

さらに、こう続いています。

<日本で力を持っている唯一の評価軸は、売りあげの数値とマーケティングです。
それが絶対という先入観はアメリカに敗戦した日本が抱えたトラウマに由来すると言えるかもしれません。>


「ビジネスになるか否か」は、もちろん大事です。

しかし、そろそろ、マンガの権威は日本であることを示しつつ、その文化的評価を自ら構築していくべき時期だと思います。
いや、むしろ、
「もう今さら動いても遅いよ」という状況が足元まで押し寄せているかもしれません。

圧倒的なマウントポジションを取れるタイミングは、もう残り時間がわずかのように思います。

(我田引水のようになりますが、「マンガ・オリンピックは夢物語ではなくて」で書いたマンガ世界大会は、その一歩目として悪くない案だと改めて思います)


そうした目的のもとに動くことは、短期的なリターンが見えにくく、
かつ、いずれ成果が出始めてきた時も、その大きな貢献が表に現れにくいため、
決して美味しいことではないんですよね。

だから、なかなか出版社は踏み出すことはしないでしょう。
半官半民的な組織が、長期的な視野を持って取り組むことが必要かもしれません。