UCLAでの講義も終わったので、少しロサンゼルスを離れて、NYに行ってきました。
滞在先はブロードウェイのあたりだったのですが、一番行きたかったのは、
ブルックリンのWilliamsburg。
今、NYにおいて、文化的に最も最先端と言われるエリアです。

●ジェントリフィケーション(gentrification)の典型の街
ジェントリフィケーション(gentrification)
という言葉、僕はアメリカに来て初めて知りましたが、
なかなか示唆に富む概念だと思います。
簡単に説明すると、以下のような流れです。
・NYやLAなど大都市周辺に位置するが、倉庫街などで、土地代の安いエリアに
・アーティストたちが引っ越してくる。
↓
・アート関連の店や、おしゃれなカフェなど、初期投資の少ない店が出来始める。
↓
・それらの店目的に、流行に敏感な若い層が集うようになる。
・街が洗練されていく。
↓
・少しお金を持つビジネスマンも住むようになってくる。
↓
・土地代が上がる。
↓
・家賃を払えないさびれた店が出て行かざるえなくなる。
・より街が洗練され、治安も良くなってくる。
↓
・ファミリー層も引っ越してくる。
↓
・おしゃれで最先端の店が集い、治安もいいエリアに成長する。
今の時期、この典型例と言えるのが、Williamsburgです。
散髪屋とカフェが合体した店、
チョコレートの製造場所を洗練させた店、
不動産屋とカフェが融合した店、
投資家から数十億を集めたサードウェーブコーヒー店
など、東京に持って行くとヒットしそうな店が
あちこちにあります。
(これから店を開こうと考えている人は、
一度足を運んでおく価値はあると思います。
ヒントが山ほど見つけられるはずです)

行き着くところまで行くと、開発が進みすぎて、
モール的なものが出来始め、
最先端の店は他のエリアに移るため、
ほんの数年後には「もはやWilliamsburgはダサい」となってる可能性も高いです。
だからこそ、
まさに街が生き物のように成長している様が
街の随所に見えて、非常に面白かったです。
●ジェントリフィケーション(gentrification)の負の側面も
そんな盛り上がりの一方で、
ブルックリン出身のスパイク・リーがWilliamsburg を中心に進んでるgentrification にかなり激しく反発してるインタビュー記事が話題になってました。
昔から住んでいて、その街の(荒れ具合も含めて)愛着を持っていた人たちからすれば、
「俺らの街を、よそ者が変えていくんじゃないよ」
と憤る気持ちも理解できます。
ジェントリフィケーション(gentrification)は、
アメリカに限定した現象ではなく、
僕が去年行った南アフリカのケープタウンにもあるそうです。
Bo-Kaapのgentrificationに関するWikipedia
他のエリアにおいても、同じような問題点を抱えているようです。
●日本で、ジェントリフィケーション(gentrification)に当てはまるエリア
そうした問題点も含めて、日本を振り返ってみると、
そもそも日本には、ピッタリと当てはまる例が思いつきません。
日本の街の発展は土建屋主導だからなのでしょうか?
そもそも国土が狭く、土地が限られているからでしょうか?
下北沢とか吉祥寺は少しそうなのでしょうか。
三軒茶屋の三角地帯とかも?

●日本に導入するならば??
これからの地方や地域の発展の在り方を考えると、
ジェントリフィケーション(gentrification)は
日本にこそ、意識的に導入してみる価値があるように思います。
僕が住んだことのあるエリアで言えば、
独立心が強く遊びごころのある街
京都
に一番可能性を感じます。
元々、若いアーティストたちが活躍する場も多いエリアですし。
京都精華大学が積極的に、マンガ関連の施設を作ったり、
イベントを開催したりしていることが、
街の発展に直接的に寄与するようになると、
なかなか面白い展開になるかもしれません。
僕が特に、京都に可能性を感じるのは、
京大と同志社の存在です。
名門大学があれば、自ずと若い人たちの新陳代謝が生まれることになりますから。
土建屋でも自治体主導でもない、
新しいかたちでの地域活性化が、これから確実に求められていくことを考えると、
日本でもっと
ジェントリフィケーション(gentrification)
に関する考え方が一般的になっていくといいな、
と、ロサンゼルスの街を眺めつつ思ったりしてます。
--- 関連記事 ---
ジェントリフィケーションについて知りたい方に向けて、
参考になる書籍やウェブサイトをまとめました。
よろしければ、
こちらの記事「ジェントリフィケーションを知りたい方のための案内板」
もご参照ください。 (2015年12月9日 追記)
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滞在先はブロードウェイのあたりだったのですが、一番行きたかったのは、
ブルックリンのWilliamsburg。
今、NYにおいて、文化的に最も最先端と言われるエリアです。

●ジェントリフィケーション(gentrification)の典型の街
ジェントリフィケーション(gentrification)
という言葉、僕はアメリカに来て初めて知りましたが、
なかなか示唆に富む概念だと思います。
簡単に説明すると、以下のような流れです。
・NYやLAなど大都市周辺に位置するが、倉庫街などで、土地代の安いエリアに
・アーティストたちが引っ越してくる。
↓
・アート関連の店や、おしゃれなカフェなど、初期投資の少ない店が出来始める。
↓
・それらの店目的に、流行に敏感な若い層が集うようになる。
・街が洗練されていく。
↓
・少しお金を持つビジネスマンも住むようになってくる。
↓
・土地代が上がる。
↓
・家賃を払えないさびれた店が出て行かざるえなくなる。
・より街が洗練され、治安も良くなってくる。
↓
・ファミリー層も引っ越してくる。
↓
・おしゃれで最先端の店が集い、治安もいいエリアに成長する。
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ジェントリフィケーションについて知りたい方に向けて、
参考になる書籍やウェブサイトをまとめました。
よろしければ、
こちらの記事「ジェントリフィケーションを知りたい方のための案内板」
もご参照ください。 (2015年12月9日 追記)
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ジェントリフィケーションについて知りたい方に向けて、
参考になる書籍やウェブサイトをまとめました。
よろしければ、
こちらの記事「ジェントリフィケーションを知りたい方のための案内板」
もご参照ください。 (2015年12月9日 追記)
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今の時期、この典型例と言えるのが、Williamsburgです。
散髪屋とカフェが合体した店、
チョコレートの製造場所を洗練させた店、
不動産屋とカフェが融合した店、
投資家から数十億を集めたサードウェーブコーヒー店
など、東京に持って行くとヒットしそうな店が
あちこちにあります。
(これから店を開こうと考えている人は、
一度足を運んでおく価値はあると思います。
ヒントが山ほど見つけられるはずです)

行き着くところまで行くと、開発が進みすぎて、
モール的なものが出来始め、
最先端の店は他のエリアに移るため、
ほんの数年後には「もはやWilliamsburgはダサい」となってる可能性も高いです。
だからこそ、
まさに街が生き物のように成長している様が
街の随所に見えて、非常に面白かったです。
●ジェントリフィケーション(gentrification)の負の側面も
そんな盛り上がりの一方で、
ブルックリン出身のスパイク・リーがWilliamsburg を中心に進んでるgentrification にかなり激しく反発してるインタビュー記事が話題になってました。
昔から住んでいて、その街の(荒れ具合も含めて)愛着を持っていた人たちからすれば、
「俺らの街を、よそ者が変えていくんじゃないよ」
と憤る気持ちも理解できます。
ジェントリフィケーション(gentrification)は、
アメリカに限定した現象ではなく、
僕が去年行った南アフリカのケープタウンにもあるそうです。
Bo-Kaapのgentrificationに関するWikipedia
他のエリアにおいても、同じような問題点を抱えているようです。
●日本で、ジェントリフィケーション(gentrification)に当てはまるエリア
そうした問題点も含めて、日本を振り返ってみると、
そもそも日本には、ピッタリと当てはまる例が思いつきません。
日本の街の発展は土建屋主導だからなのでしょうか?
そもそも国土が狭く、土地が限られているからでしょうか?
下北沢とか吉祥寺は少しそうなのでしょうか。
三軒茶屋の三角地帯とかも?

●日本に導入するならば??
これからの地方や地域の発展の在り方を考えると、
ジェントリフィケーション(gentrification)は
日本にこそ、意識的に導入してみる価値があるように思います。
僕が住んだことのあるエリアで言えば、
独立心が強く遊びごころのある街
京都
に一番可能性を感じます。
元々、若いアーティストたちが活躍する場も多いエリアですし。
京都精華大学が積極的に、マンガ関連の施設を作ったり、
イベントを開催したりしていることが、
街の発展に直接的に寄与するようになると、
なかなか面白い展開になるかもしれません。
僕が特に、京都に可能性を感じるのは、
京大と同志社の存在です。
名門大学があれば、自ずと若い人たちの新陳代謝が生まれることになりますから。
土建屋でも自治体主導でもない、
新しいかたちでの地域活性化が、これから確実に求められていくことを考えると、
日本でもっと
ジェントリフィケーション(gentrification)
に関する考え方が一般的になっていくといいな、
と、ロサンゼルスの街を眺めつつ思ったりしてます。
--- 関連記事 ---
ジェントリフィケーションについて知りたい方に向けて、
参考になる書籍やウェブサイトをまとめました。
よろしければ、
こちらの記事「ジェントリフィケーションを知りたい方のための案内板」
もご参照ください。 (2015年12月9日 追記)
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コメント
コメント一覧 (3)
『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』
エンリコ・モレッティ
ジェントリフィケーションについての記述がなかったのが残念でしたが。
コメントありがとうございます。
たしかに、日本に導入するとアメリカ以上の反発があるでしょうね。
日本の場合、もっと小規模に、一商店街くらいで始めてみると面白いかもしれません。
この二冊ですね。
『ジェントリフィケーションと報復都市: 新たなる都市のフロンティア』
ニール スミス
『都市はなぜ魂を失ったか ―ジェイコブズ後のニューヨーク論』 (KS社会科学専門書)シャロン・ズーキン
興味深いです。今度チェックしてみます。情報ありがとうございました!
「ジェントリフィケーション」
私も最近興味を持っている概念です。他にも「スーパージェントリフィケーション」と呼ばれる現象もあったりして、なかなか面白いです。
ただ、ジェントリフィケーションには、それまでそこに住んでいた人々(特に貧しい/マイノリティ)が追い出されてしまうという負の面もあります。
なので日本に導入するとなると、うわ大丈夫かな;;って心配になりますねぇ。
参考までに、
ニール・スミス、シャロン・ズーキン
有名な方々なのでご存知かもしれませんが、彼らの本も読まれてみると面白いかもしれませんね。