ニューヨークのブルックリンを訪れた直後(2014年3月)に、
「ジェントリフィケーション」について下記の記事を書いたのが、今から一年半以上前でした。
●NYのジェントリフィケーション(gentrification)を日本に導入するならば
その頃は、ジェントリフィケーションについて記された日本語記事はあまり見かけなかったように思います。
その後、日本でも少しずつ浸透してきたのか、
ここ最近、「ジェントリフィケーション」というキーワードで訪問してくださる方が結構います。

その後、日本でのジェントリフィケーションの可能性などについて、いろいろと思うところもあり、
自分なりの考察をまとめたいな、と思いながら、結構日が経ってしまっています。
せっかく訪れてもらったのに、
ジェントリフィケーションについて一記事しかないのも申し訳ないので、
私の考察はひとまず置いておいて、
「ジェントリフィケーションに関する案内板」
的なものを記しておこうと思います。
(※ジェントリフィケーションという概念の基本的な説明は、上記記事「NYのジェントリフィケーション(gentrification)を日本に導入するならば」
に記しています。よろしければご覧ください)
【書籍】
ジェントリフィケーションについて記された本は、まだ数が少ないようです。
タイトルに「ジェントリフィケーション」が入っている日本語の書籍は、amazonで検索する限り、ただ一冊。
●『ジェントリフィケーションと報復都市: 新たなる都市のフロンティア』 (ミネルヴァ書房)著:ニール スミス
amazonの内容紹介によると、
<ジェントリフィケーション研究の古典として評価の高い>
<都市への投資とその引揚げがもたらす機制を理論的に解き明かす>
<世界各地での事例も取り上げた>
とありますので、ジェントリフィケーションを調べるには最適な一冊のようです。
『図書新聞』で取り上げられた際の記事をネット上で見つけたので転載させてもらいます。

(著作権的にグレーであることは理解していますので、こちらの画像の削除を希望される場合はご連絡ください)
続いて、
著者略歴に「都市のジェントリフィケーションについての理論の第一人者」とある書籍が、下記になります。
●『都市はなぜ魂を失ったか ―ジェイコブズ後のニューヨーク論』 (KS社会科学専門書)著:シャロン・ズーキン
著者は、ニューヨーク市立大学ブルックリン校および同大大学院センター教授で、長年ニューヨークに住み、観察している研究者、とのことです。
(上記二冊は、私のブログ記事へのコメントで教えてもらった本なのですが、まだ読めてません。
とりあえず買っとこか、というには少々お高く。。
読んだら、また記させてもらいますね)
割と最近出た本で、お手軽に買える本ですと下記になります。
(こちらは私も読みました)
●『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』 (プレジデント社)著:エンリコ・モレッティ
アメリカの都市の発展に、イノベーションを起こす企業がどれほど寄与してるかを分析している本です。
納得する箇所は多いのですが、
NYのブルックリンのような「都市の一部」の急激な発展への分析がないのが残念です。

【ウェブ記事】
さすが、ネットには結構たくさん情報がありますね。
概要が非常によくまとまっているのがこちらです。
●uep - インターネット講座・第9回 都市の自然な再生と政策
図表なども用いられて説明されているので、
とてもいいお勉強になります。
そして、上記の書籍『ジェントリフィケーションと報復都市: 新たなる都市のフロンティア』 を翻訳した原口 剛さんが、
2014年9月に書店でトークセッションをした際の様子がこちらにまとまっています。
●ジェントリフィケーション/トークセッション 原口剛×酒井隆史
対談形式でとても読みやすく記されているので
(サイトの構成は読みにくいですが…)、
これを一通り読むと、ジェントリフィケーションについて、大枠が理解できるのではないでしょうか。
日本(特に大阪)でのジェントリフィケーションの可能性について考えるヒントにもなりそうです。

とりわけ、ジェントリフィケーションの「負の側面」を理解するのに適しているのが、
ステイシー・サットンさんのTEDスピーチを翻訳した下記の記事です。
●貧困層が土地を追われ、よそ者が街を支配する… アメリカで注目を浴びる「ジェントリフィケーション問題」とは - ログミー Edit
以前、私の記事でも紹介しましたが、
ブルックリン出身のスパイク・リーが
自分の生まれ故郷で進んでるジェントリフィケーションに、かなり激しく反発してる下記のインタビュー記事も
「負の側面」を知るのに役立ちます。
●Spike Lee’s Amazing Rant Against Gentrification -- NYMag Edit
英語の記事なので、下記も合わせて読むと理解が深まりそうです。
●スパイク・リー、ジェントリフィケーションで吠える!|池城美菜子的紐育日記~Minako Ikeshiro' s NY

もっと調べていくと、まだまだありそうですが、
それはまたの機会にして、ここらへんで止めておきます。
この記事を書くために、久しぶりにジェントリフィケーションについて調べていて、改めて感じたのが、
日本では、ジェントリフィケーションが誤用されながら広がっているのではないか?
ということです。
特に、単なる「業者や行政による再開発」と混合されてるように感じます。
もちろん、言葉の意味には幅があるので、全く的外れな語訳ということではないと思います。
しかし、
僕がアメリカで直に見てきたジェントリフィケーションは、
むしろ、業者や行政主導による再開発とは真逆にあると感じました。
こちらのサイト(「アートスケープ」)での説明にあるように、
<若手芸術家など、都市の活性化を引き起こすキーパーソン(=ジェントリファイヤー)が移り住むことで、自然治癒的に地域環境が向上する>
ことこそが、ジェントリフィケーションに成功した街の魅力だと思います。
そのベースがあるからこそ、
現状では大手業者が先導して開発しているエリアであっても、
端々に、かつての名残が感じられて、単なる繁華街とは異なる魅力を感じさせるのではないでしょうか。

上記でも紹介したステイシー・サットンさんは、下記のように語っています。
ジェントリフィケーションは、今の日本でこそ、大いに考察・適用されるべき概念だと思います。
安直なコピペで消費されていかないことを願っています。
--- 関連記事 ---
ジェントリフィケーションの代表格であるニューヨークのブルックリンに
訪問した直後に書いた記事
こちらの記事「NYのジェントリフィケーション(gentrification)を日本に導入するならば」
も合わせてお読みください。
--- ---
※写真はイメージで、ジェントリフィケーション都市ではありません。
「ジェントリフィケーション」について下記の記事を書いたのが、今から一年半以上前でした。
●NYのジェントリフィケーション(gentrification)を日本に導入するならば
その頃は、ジェントリフィケーションについて記された日本語記事はあまり見かけなかったように思います。
その後、日本でも少しずつ浸透してきたのか、
ここ最近、「ジェントリフィケーション」というキーワードで訪問してくださる方が結構います。

その後、日本でのジェントリフィケーションの可能性などについて、いろいろと思うところもあり、
自分なりの考察をまとめたいな、と思いながら、結構日が経ってしまっています。
せっかく訪れてもらったのに、
ジェントリフィケーションについて一記事しかないのも申し訳ないので、
私の考察はひとまず置いておいて、
「ジェントリフィケーションに関する案内板」
的なものを記しておこうと思います。
(※ジェントリフィケーションという概念の基本的な説明は、上記記事「NYのジェントリフィケーション(gentrification)を日本に導入するならば」
に記しています。よろしければご覧ください)
【書籍】
ジェントリフィケーションについて記された本は、まだ数が少ないようです。
タイトルに「ジェントリフィケーション」が入っている日本語の書籍は、amazonで検索する限り、ただ一冊。
●『ジェントリフィケーションと報復都市: 新たなる都市のフロンティア』 (ミネルヴァ書房)著:ニール スミス
amazonの内容紹介によると、
<ジェントリフィケーション研究の古典として評価の高い>
<都市への投資とその引揚げがもたらす機制を理論的に解き明かす>
<世界各地での事例も取り上げた>
とありますので、ジェントリフィケーションを調べるには最適な一冊のようです。
『図書新聞』で取り上げられた際の記事をネット上で見つけたので転載させてもらいます。

(著作権的にグレーであることは理解していますので、こちらの画像の削除を希望される場合はご連絡ください)
続いて、
著者略歴に「都市のジェントリフィケーションについての理論の第一人者」とある書籍が、下記になります。
●『都市はなぜ魂を失ったか ―ジェイコブズ後のニューヨーク論』 (KS社会科学専門書)著:シャロン・ズーキン
著者は、ニューヨーク市立大学ブルックリン校および同大大学院センター教授で、長年ニューヨークに住み、観察している研究者、とのことです。
(上記二冊は、私のブログ記事へのコメントで教えてもらった本なのですが、まだ読めてません。
とりあえず買っとこか、というには少々お高く。。
読んだら、また記させてもらいますね)
割と最近出た本で、お手軽に買える本ですと下記になります。
(こちらは私も読みました)
●『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』 (プレジデント社)著:エンリコ・モレッティ
アメリカの都市の発展に、イノベーションを起こす企業がどれほど寄与してるかを分析している本です。
納得する箇所は多いのですが、
NYのブルックリンのような「都市の一部」の急激な発展への分析がないのが残念です。

【ウェブ記事】
さすが、ネットには結構たくさん情報がありますね。
概要が非常によくまとまっているのがこちらです。
●uep - インターネット講座・第9回 都市の自然な再生と政策
図表なども用いられて説明されているので、
とてもいいお勉強になります。
そして、上記の書籍『ジェントリフィケーションと報復都市: 新たなる都市のフロンティア』 を翻訳した原口 剛さんが、
2014年9月に書店でトークセッションをした際の様子がこちらにまとまっています。
●ジェントリフィケーション/トークセッション 原口剛×酒井隆史
対談形式でとても読みやすく記されているので
(サイトの構成は読みにくいですが…)、
これを一通り読むと、ジェントリフィケーションについて、大枠が理解できるのではないでしょうか。
日本(特に大阪)でのジェントリフィケーションの可能性について考えるヒントにもなりそうです。

とりわけ、ジェントリフィケーションの「負の側面」を理解するのに適しているのが、
ステイシー・サットンさんのTEDスピーチを翻訳した下記の記事です。
●貧困層が土地を追われ、よそ者が街を支配する… アメリカで注目を浴びる「ジェントリフィケーション問題」とは - ログミー Edit
以前、私の記事でも紹介しましたが、
ブルックリン出身のスパイク・リーが
自分の生まれ故郷で進んでるジェントリフィケーションに、かなり激しく反発してる下記のインタビュー記事も
「負の側面」を知るのに役立ちます。
●Spike Lee’s Amazing Rant Against Gentrification -- NYMag Edit
英語の記事なので、下記も合わせて読むと理解が深まりそうです。
●スパイク・リー、ジェントリフィケーションで吠える!|池城美菜子的紐育日記~Minako Ikeshiro' s NY

もっと調べていくと、まだまだありそうですが、
それはまたの機会にして、ここらへんで止めておきます。
この記事を書くために、久しぶりにジェントリフィケーションについて調べていて、改めて感じたのが、
日本では、ジェントリフィケーションが誤用されながら広がっているのではないか?
ということです。
特に、単なる「業者や行政による再開発」と混合されてるように感じます。
もちろん、言葉の意味には幅があるので、全く的外れな語訳ということではないと思います。
しかし、
僕がアメリカで直に見てきたジェントリフィケーションは、
むしろ、業者や行政主導による再開発とは真逆にあると感じました。
こちらのサイト(「アートスケープ」)での説明にあるように、
<若手芸術家など、都市の活性化を引き起こすキーパーソン(=ジェントリファイヤー)が移り住むことで、自然治癒的に地域環境が向上する>
ことこそが、ジェントリフィケーションに成功した街の魅力だと思います。
そのベースがあるからこそ、
現状では大手業者が先導して開発しているエリアであっても、
端々に、かつての名残が感じられて、単なる繁華街とは異なる魅力を感じさせるのではないでしょうか。

上記でも紹介したステイシー・サットンさんは、下記のように語っています。
<ジェントリフィケーションについての理解は実に混乱しています。
しかし、ジェントリフィケーションを「近隣地域の改善」と定義することは、極めて短絡的といえます。
ジェントリフィケーションとは、もっと複雑なものなのです。>
貧困層が土地を追われ、よそ者が街を支配する… アメリカで注目を浴びる「ジェントリフィケーション問題」とは - ログミー Edit
ジェントリフィケーションは、今の日本でこそ、大いに考察・適用されるべき概念だと思います。
安直なコピペで消費されていかないことを願っています。
--- 関連記事 ---
ジェントリフィケーションの代表格であるニューヨークのブルックリンに
訪問した直後に書いた記事
こちらの記事「NYのジェントリフィケーション(gentrification)を日本に導入するならば」
も合わせてお読みください。
--- ---
※写真はイメージで、ジェントリフィケーション都市ではありません。
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