12歳の文学賞


2006年に立ち上げた、小学生だけが応募できる新人公募文学賞「12歳の文学賞」も”12歳”を迎えました。

小学校を卒業する年齢”12歳”となった機会に、「12歳の文学賞」自体が「卒業」というかたちで、区切りをつけることになりました。

間もなく迎える2017年9月30日が、最後のしめ切りになります。

あさのあつこさん、石田衣良さん、西原理恵子さん、という豪華な作家さんたちに
小学生たちが作品を審査してもらえる貴重な機会も、いよいよ最後です。



私が12年くらい前に、この賞を立ち上げた頃、
「12歳の文学賞だけに、12回は続けたい」
と思っていました。

担当を譲った5回目以降は、あまり関わっておらず、
当初の賞のかたちとは異なるものになっていますが、
それでも、無事12回を迎えられて、今はホッとしています。


この機会に、ちょっと振り返りながら、当時、思い描いていたことなんかを記してみることにしました。担当から離れているからこそ書けることもあるかなと思ったりもしています。


■今は無き『小学六年生』から始まった

「12歳の文学賞」の名も示すとおり、当時は『小学六年生』が主な舞台でした。

当時すでに休刊の話もあがっていた『小学六年生』のイメージを刷新したい、
少しでも注目を集めたい、
という想いも強くあり、
ブランディング機能、プロモーションとしての役割も強く意識していました。

NHK+全キー局、全メジャー新聞で取り上げられ、
受賞者の居住エリアの地方紙では一面トップ記事になることもありましたので、
その狙いは十分果たせたと思っています。

とはいうものの、今は残念ながら『小学六年生』はおろか、
『小学二年生』~『小学六年生』まで、今は休刊してしまったので、
力及ばず…という悔しさがあるのも事実です。


■作文教育に対するアンチテーゼ

そしてもう一つ、
「作文教育に対するアンチテーゼ」、
「作文教育の被害者救済」

の役割も果たしたい、
という想いもありました。

8,9,10回と3年連続で大賞を受賞する快挙を成し遂げた、鈴木るりかさんが、
朝日新聞「ひと」欄に登場した際の記事は、
改めて、その頃に考えていたことを思い出させてくれました。

彼女ですら、読者感想文は苦手で「書き出しをみんなと同じにするよう直された」そうです。

もし、この賞がなかったら、彼女ほどの逸材さえも、学校教育によって
「私は文章が得意じゃないのかも」と思い込まされてたかもしれません。


学校教育ではすくい上げられなかった多くの才能が
羽ばたく場を作りたいーー

12年前に「12歳の文学賞」を立ち上げる準備をしてた頃、
強く想っていたことです。

少しは貢献できたのかな、と鈴木るりかさんのインタビューを読んで、思うことができました。


出版業界全体が厳しくなってる今、
「文化に貢献する」という正論が、通りにくくなっていると常々感じています。
そんな時だからこそ、
根本の想いを再確認してみる作業も必要だなと再確認させてもらえました。


いよいよ、最後の募集もしめ切り間近です。

小学生だけが応募できる新人公募文学賞「第12回 12歳の文学賞」へ、
皆さんからのたくさんの応募をお待ちしてます。